初めてドローンを買おうとして迷っている方、多用途で選び方に悩む方の気持ちはよくわかります。
モデルやバッテリー、法令対応など見落としがちなポイントを押さえないと、後で使い勝手や維持費で困ることになります。
この記事では用途別の機種選びや法令・登録、バッテリー管理まで、チェックリストをわかりやすくお届けします。
飛行時間・カメラ性能・耐風性・保証・中古購入時の必須確認など、購入前に確認すべき項目を章ごとに整理しました。
まずは想定用途の見極めから始める方法を紹介しますので、次の章を読み進めて最適な一機を見つけてください。
ドローン購入の注意点チェックリスト
初めてドローンを購入する方にも、買い替えを検討している方にも役立つチェックリストをまとめます。
用途や法令、ランニングコストまで幅広く確認することで、後悔しない選択をしやすくなります。
想定用途
まずはドローンを何に使いたいかを明確にしてください。
趣味の空撮なのか、業務用の映像制作なのか、点検や測量など現場作業なのかで必要な性能が大きく変わります。
- 趣味の空撮
- 映像制作
- 測量と測位
- 農薬散布
- FPVレース
飛行時間とバッテリー容量
実稼働時間はスペック表の数値より短くなることが多いです。
風や機体の積載、飛行モードによって減るため、必要な飛行時間を逆算してバッテリー数を決めてください。
| バッテリー容量 | 目安飛行時間 | 用途の目安 |
|---|---|---|
| 1500mAh | 約10分 | 携帯小型機 |
| 3000mAh | 約20分 | 一般空撮 |
| 6000mAh以上 | 約30分以上 | 業務用大型機 |
バッテリーは消耗品ですから、余裕を持って予備を用意すると安心です。
カメラ性能とジンバル
画質が重要な場合はセンサーサイズやレンズ、ビットレートを確認してください。
手振れ補正が弱い機体は後処理で補正が必要になり、作業工数が増える可能性があります。
ジンバルは安定した撮影の生命線で、3軸ジンバル搭載機を推奨します。
耐風性能と機体重量
耐風性能は飛行可能な日数を左右しますから、風速対応目安をチェックしてください。
機体が重いほど風に強い反面、登録や飛行ルールが厳しくなる場合があります。
機体サイズと携帯性
折りたたみ式か固定アームかで持ち運びのしやすさが変わります。
旅行やロケ現場に頻繁に持って行くなら、収納ケースや重量も重要な判断基準です。
リモートIDと法令適合
リモートID対応は今後の法令運用で必須となるケースが増えています。
購入前にメーカーが表示する法令適合情報と最新の規制を照合してください。
保証と修理サポート
国内での修理拠点があるか、サポートの対応時間を確認すると安心です。
保証期間や保証範囲、落下や水濡れなどの特約の有無も見落とさないでください。
付属品とスペアパーツ入手性
プロペラやモーター、ジンバル部品の入手性は運用コストに直結します。
純正バッテリーやコントローラーの価格を把握し、長期的な維持費を見積もってください。
用途別の機種選びポイント
用途ごとに求められる性能は大きく異なりますので、まずは目的を明確にすることが重要です。
ここでは趣味の空撮から業務用途、測量や農薬散布、FPVまで、それぞれのポイントをわかりやすく解説します。
空撮(趣味)
趣味の空撮はコストパフォーマンスと操作のしやすさが重視されます。
入門者には折りたたみ式で軽量、かつ自動ホバリング性能が安定している機体がおすすめです。
カメラは4K対応が一般的で、手ぶれ補正やジンバルの有無で満足度が大きく変わります。
また、予備バッテリーや収納ケースといったアクセサリーの充実度も購入後の体験に直結します。
- 手頃な価格帯
- 自動帰還と衝突回避機能
- 3軸ジンバル搭載カメラ
- 交換しやすいバッテリー
- 専用アプリの使いやすさ
業務空撮(映像制作)
映像制作では画質と安定性が最優先になりますので、カメラ性能を妥協しないことが肝心です。
20MP以上のセンサーや10ビットカラー対応、Log収録などの仕様があると後処理での表現幅が広がります。
2軸や3軸の高性能ジンバル、加えてジンバルの機械的剛性も確認してください。
冗長化設計や障害発生時のフェイルセーフ、業務向けのサポート体制も選定時の重要な評価項目になります。
NDフィルターやNDレンジの調整が容易であること、機体のノイズや振動が少ないことも実写品質に直結します。
測量・点検
測量やインフラ点検では位置精度と撮影データの再現性が求められます。
RTKやPPK対応のGNSSが搭載されているか、ジオリファレンスの精度を確認してください。
風などの外乱に強い安定したホバリング性能や、同一ルートを正確に再現できる自律飛行機能が役立ちます。
センサやソフトとの連携、データ出力形式の互換性も事前に確認しておくと運用がスムーズです。
| 用途 | 推奨スペック | 備考 |
|---|---|---|
| 写真測量 | 高解像度カメラ 20MP以上 | ジオリファレンス対応 |
| 点検撮影 | 高倍率ズームカメラ | 安定したホバリング |
| 3Dモデル作成 | 安定した重複撮影 | RTK PPK対応 |
農業(散布)
農業用ドローンではペイロードと散布精度が最重要となります。
液体や粒剤を運搬するタンク容量と噴霧幅、そして散布ノズルの制御精度を確認してください。
散布中の安定した高度保持や風への耐性、さらに飛行時間に応じたバッテリーと予備計画も不可欠です。
農薬や肥料の重量によって機体への負荷が変わりますので、フレームとモーターの余裕度もチェックしてください。
整備性と部品供給のしやすさ、農業向けの法規制や助成制度に対応したモデルかどうかも確認すると安心です。
FPV飛行
FPVは反応速度と機体の軽さ、操作フィーリングが最大の魅力です。
レース志向ならば低遅延の映像伝送と高出力モーター、軽量フレームを重視してください。
フリースタイルや映像制作向けなら画質重視のHDデジタルFPVシステムや安定したジンバル併用も選択肢になります。
消耗品の交換頻度が高いため、プロペラやモーター、フレームが入手しやすいかどうかも重要です。
飛行技術向上のために、シミュレータでの練習や安全な飛行場所の確保も忘れずにお願いします。
法規・登録と申請の確認項目
ドローンを購入したら、機体の性能だけでなく法的な手続きや申請も同時に確認する必要がございます。
ルールを守ることは安全運用の基本であり、後のトラブル回避にもつながります。
以下では、購入前後に必ずチェックすべき主要項目をわかりやすく整理してご説明いたします。
機体登録
日本国内で重量が100グラム以上のドローンは、機体登録の対象となりますので注意が必要です。
登録は国土交通省が指定する方法で行い、登録番号の表示が義務付けられております。
新規購入時には箱や本体に記載のシリアル番号を確認し、登録申請のために手元に控えておくと便利です。
登録が済むと登録証明書が発行されますので、保管やコピーの準備も忘れないでください。
リモートID確認
リモートIDは、機体の位置情報や機体情報を発信する仕組みで、段階的に運用が義務化されています。
購入前に機体がリモートIDに対応しているか、または外付けモジュールで対応可能か確認してください。
対応状況によっては、飛行可能な空域や運用条件が変わる場合がございますので、事前確認が重要です。
飛行申請(DIPS)
許可が必要な飛行を行う場合は、DIPSを通じた申請が必要になります。
申請の流れは複雑に感じられますが、主要な手順を押さえておけばスムーズに進められます。
- 飛行日時と場所の特定
- 使用機体と操縦者情報の準備
- 安全対策とリスク低減措置の記載
- 添付資料の用意
- DIPSへ申請と審査の待機
申請書類は具体的であるほど審査がスムーズになりますので、写真や図面を添付すると効果的です。
飛行禁止空域の確認
購入前に、自分が飛ばしたい場所が法律や条例で制限されていないかを必ず確認してください。
空港周辺や国立公園、市街地の一部など、飛行が禁止または制限されている場所が多く存在します。
スマートフォンアプリや国交省の提供する地図サービスを活用すると、リアルタイムの情報確認が容易になります。
保険加入
万が一の事故に備えて、適切な保険に加入しておくことは強くおすすめいたします。
補償内容や免責金額、対象となる事故の範囲を確認し、自分の用途に合ったプランを選んでください。
| 保険種類 | 主な保障内容 |
|---|---|
| 対人賠償保険 | 身体損害に対する補償 賠償責任の補償 |
| 対物賠償保険 | 他人の物損に対する補償 高額修理費の補填 |
| 機体補償 | 自己機体の損害補償 部品交換費用の補助 |
業務利用の場合は高額の対人・対物補償が必要になることが多く、保険会社と相談して決めると安心です。
保険の適用条件や免責事項は細かく設定されている場合がございますので、契約前にしっかり確認してください。
中古・並行輸入で買う際の必須チェック
中古や並行輸入のドローンは価格面で魅力的ですが、見落としがあると後で大きな出費になる可能性があります。
ここでは現物確認で必ずチェックしたいポイントを項目別にまとめました。
外装とフレーム
機体の外装は見た目だけで判断せず、クラックやリペア痕を入念に探してください。
アームや脚の取り付け部に歪みやガタがないか、ネジの種類が揃っているかも確認しておくと安心です。
塗装の剥がれや突然の色むらは過去の衝突や補修の手がかりになりますから、写真と実物を比べて違和感がないか確かめてください。
モーターとプロペラ
モーターは回転精度とベアリングの状態が飛行の安定性を左右しますから、電源を入れて実機で回転テストを行ってください。
プロペラは小さな欠けでも振動原因になりますので、取り外して縁の欠けや歪みがないか確認してください。
- モーターの回転音チェック
- ベアリングのガタ確認
- プロペラの亀裂確認
- スピンテスト実施
ジンバルとカメラ
ジンバルは電源投入時に自然に静止するか、可動部に遊びがないかを確認してください。
実際に動画を撮ってみて、ブレやゴースト、フォーカスずれが出ないかをチェックすることをおすすめします。
カメラのレンズに傷や曇りがないか、接続コネクタに腐食がないかも確かめてください。
バッテリー状態
バッテリーは消耗品なので、見た目の膨張や外装の損傷がないか必ず確認してください。
可能であればサイクル数や現在の実測電圧、内部抵抗を示すデータを売り手に提示してもらい、数値で劣化度合いを判断してください。
膨張があるものやサイクル数が極端に多いものは購入を避けるか、交換コストを見積もって交渉するのが賢明です。
シリアル番号と登録状況
シリアル番号は盗難機の照会やメーカー保証確認に必須ですから、本体と箱に記載された番号が一致するか確認してください。
並行輸入品はメーカーのサポート対象外となることがあるため、シリアルから保証や認証状態をメーカーに問い合わせておくと安心です。
DIPS登録やリモートIDの登録が必要な機体は、登録済みかどうかを事前に確認し、移転手続きの方法も確認してください。
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| シリアル番号 | 機体本体の底面 |
| DIPS登録状況 | オンラインで検索 |
| メーカー保証 | 保証期間の有無 |
| ファームウェアロック | アクティベーションの解除 |
| 販売履歴 | 整備記録の有無 |
最後に、購入前に動作確認を動画で記録しておくと、後でトラブルが起きた際に証拠として役立ちます。
並行輸入や中古品は一点ごとに状態差が大きいので、焦らず一つずつ丁寧に確認してください。
バッテリー管理と維持費の見積もり
ドローンのバッテリーは機体性能と運用コストを左右する重要な要素です。
購入前に管理方法と長期コストを把握しておくと、後で想定外の出費を抑えられます。
充放電とサイクル管理
リチウム系バッテリーは充放電の繰り返しで劣化し、サイクル数に応じて容量が減少します。
過放電や過充電を避けることが基本であり、メーカー推奨の充電レンジを守ると寿命が延びます。
実務ではバッテリーマネジメントシステム BMS の有無を確認し、バランス充電を行う習慣をつけてください。
飛行ごとに使用した容量や残存容量を記録しておくと、交換時期の判断が容易になります。
可能なら充電上限を90%程度に設定するなど、フル充電を常態化させない方法が有効です。
保管温度と保管方法
バッテリーの保管は温度と充電状態が寿命に大きく影響します。
長期保管では半充電前後の状態が推奨されることが多く、直射日光や高温多湿を避けてください。
- 保管温度 15〜25℃
- 充電状態 約50パーセント
- 湿気対策 密封容器または乾燥剤併用
- 端子保護 絶縁テープで覆う
- 定期チェック 3か月に1回
保管期間中も定期的に状態を確認し、膨張やリークがないか点検することが安全です。
交換頻度の算出
交換頻度はバッテリーの公称サイクル数と実際の使用頻度から算出できます。
たとえば公称が300サイクルで、週に3回飛ばす場合は年間約156回の使用となり、理論上は2年程度が目安になります。
ただし高負荷飛行や高温環境は劣化を早めますので余裕を見た計画が必要です。
予算立ての際は劣化による容量低下まで含めた年間維持費を試算してください。
充電器と予備バッテリー
充電器は純正か互換かで安全性と充電速度が変わりますので、機能を確認してください。
| 項目 | 推奨 |
|---|---|
| 充電器タイプ | 純正メーカー |
| ポート数 | 複数ポート |
| 出力制御 | 温度保護付 |
| バランス機能 | 内蔵バランサー |
予備バッテリーの本数は用途で変わり、ホビーなら1〜2本、業務用途なら3本以上を検討してください。
急ぎの現場では充電器の複数運用や外付けの給電装置が役に立ちますので、運用フローに合わせて投資を決めてください。
廃棄とリサイクル
劣化したバッテリーは自治体や専門業者のリサイクルルートで処分することが原則です。
端子をテープで保護し、保管時と同様に膨張や液漏れがないか確認してから持ち込みください。
メーカーの回収プログラムや家電量販店の回収ボックスを利用すると、トラブルを避けられます。
不安がある場合は専門業者に相談し、安全に廃棄する方法を選んでください。
購入後にまず行う優先手順
新しいドローンは開封後すぐに機体と付属品の確認をしてください。
バッテリーは保管用充電レベルまで充電し、初回フライト前に満充電しておきます。
ファームウェアと専用アプリを最新に更新して、機体の安定性と安全機能を確保します。
コンパスとIMUのキャリブレーションを行い、屋外でホバーテストを低高度で実施してください。
プロペラの取り付けと損傷確認を行い、予備パーツの準備を忘れないでください。
機体番号やシリアルを控え、登録や保険手続きが必要か確認しましょう。
最後に、風の弱い場所で基本操作を練習し、安全ルールを守って飛行を始めてください。

