ドローンのジャイロは何をしている?|飛行が不安定になる原因から対処まで見える!

夕暮れの山岳地帯を飛行する白いドローン
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ドローンが空中で水平を保てるのは、モーターの出力を常に細かく調整しているからです。

その調整の基準になるのが、機体の回転を計測するジャイロです。

一方で、風や振動や温度の影響が重なると、同じ機体でも急にふらつくことがあります。

このページでは、ジャイロが担う役割と、狂ったときの症状、そして戻すための手順を整理します。

撮影用の市販機から自作機まで共通する考え方に絞って、原因の切り分けができる状態を目指します。

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  1. ドローンのジャイロは何をしている?
    1. 角速度を計って姿勢の崩れを最初に検知する
    2. IMUとして加速度計と組み合わせて姿勢を推定する
    3. ヨーの安定はコンパスやGNSSとも連携する
    4. フライトコントローラーの制御はジャイロ前提で設計される
    5. ジンバルや電子手ぶれ補正にも間接的に影響する
    6. ジャイロ単体の異常はIMU異常として表に出ることが多い
  2. ジャイロが狂うと起きる症状
    1. 手放しホバリングでゆっくり流れていく
    2. 機体が小刻みに震える、映像がゼリー状に歪む
    3. IMUエラーや水平が取れない警告が出る
  3. ジャイロの精度を落とす主な原因
    1. 温度変化でゼロ点がずれて誤差が積み上がる
    2. 振動ノイズが増えると制御が過敏になって破綻する
    3. 取り付けの歪みや緩みがあると水平基準が崩れる
    4. 経年劣化や衝撃でセンサーが恒常的にずれる
  4. 校正と初期化で安定を取り戻す手順
    1. 校正を検討すべきタイミングを先に決める
    2. DJI FlyのIMUキャリブレーションの流れを押さえる
    3. 水平な設置と温度の安定が成功率を上げる
    4. 校正しても直らないときの次の打ち手を用意する
  5. 自作機・フライトコントローラーでの扱い方
    1. IMUとAHRSとINSの役割を混同しない
    2. ノイズ対策は物理とフィルタを同じ比重で考える
    3. レート系の調整はジャイロの質で上限が決まる
    4. 交換や追加をするなら互換性と用途を最初に固める
  6. 安定した飛行のために押さえる要点

ドローンのジャイロは何をしている?

山の尾根を越えて飛行するドローンと青空

ジャイロは機体が「どれだけの速さで回転しているか」を計測し、姿勢制御の土台になります。

角速度を計って姿勢の崩れを最初に検知する

ジャイロが測るのは角度そのものではなく、回転の速さである角速度です。

機体がわずかに傾き始めた瞬間に回転が発生するため、姿勢の崩れを早い段階で捉えられます。

フライトコントローラーはこの値を基準に、各モーターの出力差を作って機体を押し戻します。

この反応が遅れると、風の一撃に対して戻し切れず、映像の揺れや横流れとして見えてきます。

  • 検知対象は「回転の速さ」
  • 傾き始めを早く掴める
  • モーター出力差の根拠になる
  • 遅れると揺れが増える

IMUとして加速度計と組み合わせて姿勢を推定する

多くのドローンでは、ジャイロは加速度計と一体になったIMUとして扱われます。

ジャイロは短時間の変化に強い一方で、時間が経つとズレが積み上がりやすい性質があります。

そこで加速度計の「重力方向」の情報と組み合わせ、フィルタで姿勢を推定して安定させます。

IMUの基本として、3軸加速度計と3軸ジャイロを含む点は、PX4の用語解説でも整理されています。

要素 3軸ジャイロ+3軸加速度計(機体により磁気センサーも)
ジャイロの得意 速い回転変化の追従
加速度計の得意 重力方向の参照
参考 PX4:IMU, AHRS, and INS

ヨーの安定はコンパスやGNSSとも連携する

機体がどちらを向いているかというヨー方向は、ジャイロだけで長時間を保つのが苦手です。

時間とともにズレが出るため、磁気センサーやGNSSの情報で向きを補正する構成が一般的です。

その結果、ホバリング中の機首のふらつきが抑えられ、飛行ラインも安定しやすくなります。

ただし磁気センサーは周囲の金属や電源ノイズの影響を受けるため、現象が出たら切り分けが重要です。

  • ジャイロ単独だとヨーはズレやすい
  • 磁気センサーやGNSSで補正する
  • 金属環境で誤差が増える
  • 症状から原因を分けて考える

フライトコントローラーの制御はジャイロ前提で設計される

姿勢制御の中心は、ジャイロの角速度を狙い値に合わせるレート制御です。

操縦入力や自動制御は「この角速度で回ってほしい」という命令に変換され、ジャイロがそれを監視します。

つまりジャイロのノイズが増えると、制御側は誤った動きを真に受けて無駄な補正を繰り返します。

その無駄な補正が、機体の小刻みな震えや映像のゼリーのような歪みとして現れます。

制御の狙い 角速度を目標に合わせる
入力の解釈 操縦=目標角速度の指示
ノイズの影響 無駄な補正が増える
見え方 震え・映像の歪み

ジンバルや電子手ぶれ補正にも間接的に影響する

空撮では映像の安定化にジンバルや電子手ぶれ補正が関わります。

しかし大前提として、機体姿勢が落ち着いているほど、ジンバルは小さな動きだけで済みます。

ジャイロが乱れて姿勢制御が荒れると、ジンバルが追従し続けて限界に近づき、映像の揺れが目立ちます。

まずは機体側のセンサー状態を整えることが、映像品質を上げる最短ルートになりやすいです。

  • 映像安定は機体姿勢が土台
  • 荒れるとジンバル負荷が増える
  • 限界で揺れが目立つ
  • センサー整備が近道

ジャイロ単体の異常はIMU異常として表に出ることが多い

市販ドローンでは、ジャイロ単体というよりIMUとしてエラーが表示されることが多いです。

IMUにはジャイロと加速度計が含まれるため、どちらが原因でも姿勢が不安定になります。

そのため対処も「IMUキャリブレーション」という形でまとめて案内されるのが一般的です。

DJIのサポートにも、IMUの校正手順が具体的に示されています。

表示されやすい名称 IMUエラー
含まれる要素 ジャイロ・加速度計(機体により磁気センサーも)
対処の入口 IMUキャリブレーション
参考 DJI:IMUキャリブレーションガイド

ジャイロが狂うと起きる症状

白い空を背景に飛行するLEDライト付きドローン

ジャイロが正しく働かないと、操縦ミスでは説明できない挙動が増えます。

手放しホバリングでゆっくり流れていく

スティックを離しているのに、機体がじわじわ横に流れる症状は代表的です。

風の影響もありますが、無風に近い場所でも同じ方向に流れるならセンサーの疑いが強まります。

位置保持はGNSSやビジョンセンサーも関わるため、まずは室内外や高度を変えて再現性を見ます。

再現条件が一定なら、IMUの校正や振動対策で改善する可能性が高いです。

  • 無風でも同じ方向に流れる
  • 室内外で再現性を見る
  • 高度でも挙動が変わる
  • 校正と振動対策が第一候補

機体が小刻みに震える、映像がゼリー状に歪む

機体の微振動が増えると、ジャイロはそれを回転として拾い続けます。

すると制御が過敏になり、補正が補正を呼ぶ形で小刻みな震えが出やすくなります。

このときプロペラの傷やモーターの偏心、フレームの緩みが原因になっていることも多いです。

症状の見え方と疑う箇所を整理すると、手戻りが減ります。

見える症状 震え・映像の歪み
疑う原因 プロペラ損傷、モーター不調、固定の緩み
まずやること 消耗品点検と締結チェック
次にやること IMU校正と振動低減

IMUエラーや水平が取れない警告が出る

アプリにIMU関連の警告が出る場合は、センサー値が許容範囲を外れている可能性があります。

墜落や強い衝撃のあと、または保管温度が大きく変わったあとに出やすい傾向があります。

機体が水平に置けない環境で起動を繰り返すと、誤った基準が残る場合もあります。

まずは水平で乾いた台に置き、案内される手順どおりに校正を行うのが安全です。

  • 衝撃後や温度変化後に出やすい
  • 起動姿勢の癖で基準が狂う場合がある
  • 水平な台で校正を実施する
  • 改善しないなら点検も検討する

ジャイロの精度を落とす主な原因

森林を背景にホバリングするPhantomシリーズドローン

原因はセンサー故障だけではなく、環境や機体状態の積み重ねでも起きます。

温度変化でゼロ点がずれて誤差が積み上がる

ジャイロは温度の影響を受け、同じ回転でも出力がわずかに変化します。

このわずかな変化が長時間積み上がると、姿勢が少しずつズレるドリフトになります。

冬の屋外や、車内から急に外へ出した直後などは、温度差が大きく出やすい場面です。

フライト前に環境へ慣らす時間を取り、必要なら校正を入れるだけで改善することがあります。

  • 温度でゼロ点が変わる
  • 積み上がるとドリフトになる
  • 急な温度差で起きやすい
  • 慣らしと校正が効く場合がある

振動ノイズが増えると制御が過敏になって破綻する

ジャイロは回転に敏感なので、プロペラの微小なブレも信号として入ります。

ノイズが多い状態では、制御側が本当の姿勢変化と見分けにくくなります。

自作機ではノッチフィルタなどでジャイロノイズを抑える設計が広く採用されています。

振動対策とフィルタ設定の関係は、ArduPilotでも整理されています。

ノイズ源 プロペラ不均衡、フレーム共振、固定ゆるみ
起きること 過敏な補正、震え、操縦感の悪化
対策の方向 物理対策+フィルタ
参考 ArduPilot:IMU/ジャイロのノッチフィルタ

取り付けの歪みや緩みがあると水平基準が崩れる

IMU基板がフレームに対して歪んで固定されていると、水平の基準自体がずれます。

その結果、見た目は水平でも制御は「傾いている」と誤認し、常に押し戻す力が働きます。

ネジの締め過ぎや、片側だけ浮いている固定状態でも同様の問題が起きます。

点検では、固定の均一さと、クッション材の潰れ方を目で確認するのが有効です。

  • 基準がずれると常に補正が入る
  • 締め過ぎでも歪みが出る
  • 片浮きでも症状が出る
  • 固定状態の目視が効く

経年劣化や衝撃でセンサーが恒常的にずれる

墜落などの強い衝撃で、センサーが恒常的にずれて戻らないケースもあります。

校正をしてもすぐ再発する場合は、故障の可能性を疑うのが現実的です。

市販機は自己診断でエラーを出すことが多い一方、自作機はログを見ないと気づきにくいです。

再現条件と対処履歴を残しておくと、修理か設定かの判断が速くなります。

疑う状況 校正後すぐ再発、衝撃後から悪化
切り分け 温度・振動・固定を先に潰す
判断材料 ログ、エラー履歴、再現条件
次の一手 点検・修理・交換の検討

校正と初期化で安定を取り戻す手順

山岳地帯を背景に飛行するMavic 2ドローン

症状が軽い段階なら、校正と環境の整備だけで改善することが少なくありません。

校正を検討すべきタイミングを先に決める

いつ校正するかを決めておくと、無駄な作業が減ります。

代表的なのは、墜落や強い衝撃のあと、飛行が明らかに不安定になったときです。

また、保管場所と飛行場所の温度差が大きい日も、ズレが表に出やすくなります。

原因が振動にある場合は、校正だけでは戻らないため、点検とセットで考えます。

  • 衝撃後に挙動が変わった
  • ホバリングが不自然に流れる
  • 温度差が大きい環境で使う
  • 振動があるなら点検も同時に行う

DJI FlyのIMUキャリブレーションの流れを押さえる

DJI機ではアプリ内からIMUのキャリブレーションを案内どおりに進められます。

重要なのは、水平な台に置き、画面に表示される向きへ機体を順番に置いていく点です。

途中で触れたり、机が揺れたりすると失敗しやすくなるため、作業環境を整えます。

具体的な遷移先はDJIのガイドに記載があります。

前提 バッテリー残量を確保し、乾いた水平な台に置く
操作 アプリのセンサー項目からIMUの校正を開始する
作業 画面指示の向きに機体を置き換えて進める
参考 DJI:IMUキャリブレーションガイド

水平な設置と温度の安定が成功率を上げる

校正は「この状態が基準」と覚えさせる作業なので、基準が揺れると精度が落ちます。

机の水平が怪しいときは、硬い床の上に板を敷くなどして、動かない面を作ります。

温度も同様に、極端に冷えた直後や温まった直後は値が落ち着きにくくなります。

数分置いて機体温度を馴染ませてから始めるだけで、失敗が減ることがあります。

  • 基準を覚えさせる作業である
  • 設置面が動くと誤差が出る
  • 温度が落ち着くと安定しやすい
  • 事前準備が成功率を左右する

校正しても直らないときの次の打ち手を用意する

校正が通っても症状が残るなら、原因がセンサー以外にある可能性が高いです。

特にプロペラの欠けやモーターの異音は、ジャイロが拾うノイズを増やして悪化させます。

また、衝撃でフレームがわずかに曲がっていると、水平の取り方が歪み続けます。

作業の順番を決めて、点検と交換を迷わないようにします。

校正後も残る症状 震え、流れ、警告の再発
まず点検 プロペラ、モーター、固定、フレーム
次に確認 アプリのエラー履歴、ログ
判断 修理・交換・メーカー点検

自作機・フライトコントローラーでの扱い方

夕日と海を背景に飛行するドローン

自作機は設定の自由度が高い分、ジャイロ周りの設計と調整が結果を大きく左右します。

IMUとAHRSとINSの役割を混同しない

IMUはセンサーの塊であり、姿勢や位置そのものを直接出すわけではありません。

AHRSはIMUなどの情報から姿勢を推定する仕組みで、INSはさらに位置推定まで含めた考え方です。

この関係を整理すると、問題がセンサーなのか推定なのかを切り分けやすくなります。

PX4のドキュメントには、それぞれの用語の位置づけがまとめられています。

IMU 加速度計とジャイロなどの生データ
AHRS 姿勢推定の仕組み
INS 姿勢と位置を推定する枠組み
参考 PX4:IMU, AHRS, and INS

ノイズ対策は物理とフィルタを同じ比重で考える

まず物理的に振動を減らさないと、どれだけフィルタを工夫しても限界があります。

プロペラのバランスやフレームの共振点、配線の張りがノイズ源になることがあります。

そのうえで、ノッチフィルタやローパスなどの設定で、ジャイロ信号の不要な成分を抑えます。

ArduPilotでは、ジャイロノイズとフィルタの関係が具体的に説明されています。

  • 物理対策が先に効く
  • 共振や配線でもノイズが出る
  • フィルタで不要成分を抑える
  • ArduPilotの解説が参考になる

レート系の調整はジャイロの質で上限が決まる

レート制御はジャイロ値が主役なので、信号が荒いと調整しても頭打ちになります。

過度に攻めた設定はノイズに反応して震えを誘発し、飛ばしにくさにつながります。

逆にノイズを抑えられると、同じ機体でも反応が素直になり、安定と俊敏性を両立しやすくなります。

オートチューンなどを使う場合も、前提として基本的に飛べる状態に整える必要があります。

前提 ジャイロが安定していること
攻め過ぎの症状 震え、発熱、操縦感の悪化
改善の方向 ノイズ低減→再調整
参考 ArduPilot:AutoTune

交換や追加をするなら互換性と用途を最初に固める

自作機でIMUやフライトコントローラーを変える場合は、互換性と目的を先に整理します。

高精度を狙うのか、耐振動性を重視するのかで選ぶべき構成が変わります。

また、センサー追加で良くなるのは推定の材料が増える場面であり、ノイズが多いままだと逆効果もあります。

まずは現在のログと症状から、足りないのが精度なのか環境整備なのかを見極めます。

  • 互換性を先に確認する
  • 目的で選定軸が変わる
  • ノイズが多いと追加が逆効果になり得る
  • ログと症状で不足を特定する

安定した飛行のために押さえる要点

白いテーブルに置かれたコンパクトドローン

ジャイロは姿勢制御の入口であり、異常が出ると操縦や映像に直接影響します。

症状が出たら、まず再現条件を固定し、風や環境要因と切り分けて考えます。

軽い不調は校正と設置条件の見直しで改善することが多く、作業環境が成功率を左右します。

震えや歪みが強いときは、プロペラやモーターなど振動源の点検を優先すると近道です。

自作機は物理対策とフィルタと調整を同時に整え、ジャイロ信号の質を上げる発想が重要です。