「ドローン規制は日本だけが異常に厳しいのでは」と感じる人は少なくありません。
しかし実際は、日本に特有の仕組みがある一方で、海外でも登録や識別、飛行条件のルールが年々強化されています。
大事なのは「日本だけが厳しいか」を感覚で判断するのではなく、どこが違って、なぜそうなっているかを整理することです。
本記事では、日本の制度を軸にしつつ、米国や欧州などの代表的な枠組みと比較しながら、現実的な対応手順までまとめます。
ドローン規制は日本だけが厳しいわけではない
結論として、日本のドローン規制は独自に見える部分はあるものの、「日本だけが厳しい」とは言い切れません。
結論は「厳しさの種類が違う」です
日本は都市部や人の多い場所で飛ばしにくい構造があり、体感として厳しく感じやすいです。
一方で海外も、登録や操縦者要件、リモートIDなどで「誰がどこで飛ばすか」を追跡できる方向に進んでいます。
つまり、同じ“厳しい”でも、日本は「場所と手続き」、海外は「カテゴリと識別」に寄る傾向があります。
- 日本:空域・飛行方法の許可承認が中心
- 海外:リスク区分と識別・講習が中心
- 共通:安全確保と事故時の特定が目的
日本は100g以上で登録が基本ラインです
国土交通省は、屋外を飛行させる100g以上の無人航空機は登録対象であると案内しています。
登録記号の表示や、原則としてリモートID機能の搭載が求められる流れも整理されています。
まずは制度の入口として、機体登録の要否をここで確定させるのが最短です。
| 基準 | 100g以上(屋外飛行) |
|---|---|
| 必須手続き | 機体登録 |
| 根拠 | 国土交通省 無人航空機登録ポータル |
日本は「空域」と「飛行方法」で許可・承認が分かれます
日本では、飛ばす場所が特定の空域に当たるか、飛ばし方が特定の方法に当たるかで手続きが変わります。
国土交通省の案内では、許可・承認手続が必要となるケースが整理され、オンライン申請(DIPS2.0)で行うことが基本とされています。
飛行前に「登録→許可承認→通報」という順番を意識すると迷いにくいです。
- 空域の例:空港周辺、150m以上、人口集中地区など
- 方法の例:夜間、目視外、30m未満接近、催し場所上空など
- 手続き案内:無人航空機の飛行許可・承認手続
海外でも登録とリモートIDは一般的になっています
米国ではFAAがリモートIDの仕組みを整備し、運用形態に応じた規制を提示しています。
欧州でもEASAがオープンカテゴリーなどの枠組みを提示し、サブカテゴリごとに要件が変わる設計です。
国が違っても「軽いから自由」という時代ではなく、一定の追跡性と安全要件が標準化しつつあります。
「日本だけ厳しい」と感じる最大要因は“飛ばせる場所の少なさ”です
日本は可住地や公共空間が密で、第三者と距離を取りにくい地理条件があります。
その結果、ルール上は可能でも現実には申請や管理者調整が必要になり、ハードルが上がって見えます。
逆に言えば、場所選びと手続きが噛み合えば、趣味飛行でも十分に運用できます。
- 人が多いほど「30m確保」が難しい
- 公園・河川敷でも管理者ルールがある
- 都市部は空港周辺やDIDが重なりやすい
結局のところ「手続きの型」を知っている人ほど楽になります
規制は複雑に見えますが、必要な判断点は限られています。
機体が登録対象か、特定飛行に当たるか、通報が必要かを順にチェックするだけです。
この型を覚えると、国が違ってもルール比較がしやすくなります。
| 判断の順番 | 登録→特定飛行→通報→現地ルール |
|---|---|
| 使う窓口 | DIPS2.0が中心 |
| 入口 | DIPS2.0 |
日本のドローン規制で押さえるべき基本ルール
日本の制度は複数のルールが重なりますが、最低限の“骨格”を押さえると判断が速くなります。
機体登録は「飛行の前提条件」です
屋外を飛行させる100g以上の機体は登録が必要で、登録なしでは飛行できない整理になっています。
登録が終わると登録記号が発番され、機体への表示などの対応が求められます。
まずはここで「自分の機体が対象か」を確定させるのが最優先です。
| 対象 | 屋外で飛行させる100g以上 |
|---|---|
| 要件 | 登録記号の表示等 |
| 確認先 | 国土交通省 無人航空機登録ポータル |
許可・承認が必要になる「特定飛行」を知るのが肝です
空域の制限に当たる場合は許可、飛行方法の制限に当たる場合は承認という形で整理されています。
どちらも国土交通省の手続き案内にまとまっており、DIPS2.0で申請することが基本です。
「何が特定飛行か」を言葉ではなく、チェック項目として覚えると強いです。
- 空域の代表例:空港周辺、150m以上、DID、緊急用務空域
- 方法の代表例:夜間、目視外、30m未満接近、催し場所上空
- 手続き:無人航空機の飛行許可・承認手続
特定飛行では「飛行計画の通報」がセットになります
特定飛行を行う場合、日時や経路などを記載した飛行計画を事前に通報する制度があります。
国土交通省は、通報なしで特定飛行を行った場合の罰則にも触れており、運用上かなり重要です。
許可承認が取れていても、通報を忘れるとアウトになり得る点が落とし穴です。
| 制度 | 飛行計画の通報 |
|---|---|
| 対象 | 特定飛行 |
| 確認先 | 飛行計画の通報・飛行日誌 |
重要施設の周辺は重量に関係なく別ルールが走ります
航空法の枠外でも、重要施設周辺の上空を原則禁止とする考え方があります。
防衛省も小型無人機等飛行禁止法に基づく指定について、周知期間の後に原則禁止になる旨を公表しています。
機体が小さくても対象になり得るので、「軽量だから大丈夫」と決めつけないことが大切です。
- 対象は指定により追加・更新される
- 同意や所定手続が必要になる場合がある
- 公表例:防衛省の指定公表
日本の規制が『日本だけ』に見える理由
日本の規制は条文そのものより、実際の生活圏と重なって見えることで「日本だけ厳しい」と感じやすくなります。
都市部は制限エリアが重なりやすいです
人口集中地区や空港周辺など、ルール上の制限が都市圏で重なりやすいです。
さらに第三者との距離確保が難しく、結果的に申請や管理措置が必要になりやすいです。
同じルールでも、地方と都市で体感難易度が変わるのが日本の特徴です。
- DIDが広いほど「申請前提」の機会が増える
- 住宅が密だと30m確保が難しい
- 公園でもイベント扱いになるケースがある
「飛ばしていい場所」は法律だけで決まりません
法律をクリアしても、土地や施設の管理者ルールで禁止されることがあります。
つまり「法的にOK」と「運用上OK」は別で、ここが初学者の混乱ポイントです。
場所の管理者確認を手順に入れておくと、トラブルを避けやすくなります。
| 判断軸 | 法律・条例・施設ルール |
|---|---|
| 確認方法 | 管理者の掲示、公式サイト、現地連絡先 |
| 注意 | 「OKの根拠」を口頭ではなく記録に残す |
手続きが分かれていて、初見だと迷いやすいです
登録、許可承認、飛行計画通報が別の作業に見えるため、途中で抜けが出やすいです。
国土交通省は許可承認の手続きをDIPS2.0で行うことを案内しており、オンライン中心に集約されています。
とはいえ、何をどの順番でやるかを知らないと、同じ画面でも迷子になります。
- 入口:機体登録を先に終える
- 次:特定飛行の有無を判断する
- 最後:必要な場合は通報を入れる
海外主要地域のドローン規制を比べる
海外も自由放任ではなく、登録・講習・カテゴリ分けでルールを整理する方向に進んでいます。
米国は「運用区分」と「Remote ID」を軸にします
米国では、レクリエーション飛行かどうかで適用されるルールの考え方が変わります。
FAAはRemote IDの制度を提示し、識別の仕組みを前提に安全と執行力を高めています。
「誰が飛ばしているか」を追えることが、自由度とセットで求められているイメージです。
- 制度の入口:FAA Recreational Flyers
- 識別の柱:FAA Remote ID
- 運用は用途で整理される
欧州は「Open category」のようにリスクで分類します
EASAはOpen categoryを示し、A1・A2・A3のようなサブカテゴリで要件を分けています。
どこまで人に近づけるか、どんな機体か、どんな訓練が必要かが体系的に整理されています。
「禁止と許可」よりも「条件を満たせば実施できる」設計に寄っています。
- 枠組み:EASA Open Category
- 登録の例外条件:EASA FAQ
- サブカテゴリごとに距離や訓練が変わる
英国は2026年から区分やRemote IDの導入が進んでいます
英国では2026年からクラスマーク導入など制度の更新が報じられています。
またRemote IDも段階的に義務化する方向が示され、登録の裾野も広がる流れです。
国ごとに言い回しは違っても、識別と安全を強める方向性は共通しています。
- 制度更新の報道:UK drone laws have just changed
- 移行期間が用意されるケースが多い
- 購入時期で扱いが変わることがある
日本と海外の違いは「入口の重さ」と「設計思想」です
日本は登録の基準が100gで、しかも屋外飛行という実務に直結する形で入口が提示されています。
米国は運用区分とRemote IDの運用が中心で、欧州はリスク区分で要件を変える設計です。
どれが優しいかではなく、どの方式が自分の利用シーンに合うかで比較するのが現実的です。
| 地域 | 制度の軸 |
|---|---|
| 日本 | 空域・飛行方法の許可承認+登録(100g) |
| 米国 | 運用区分+Remote ID |
| 欧州 | リスク区分(Open等)+登録要件 |
日本で安全に飛ばすための実践チェックリスト
日本の規制は「全部覚える」より「飛行前の点検フロー」を固定した方がミスが減ります。
飛行前に見るべき3点だけ先に決めます
最初に機体重量と登録状況を確認し、次に場所が空域制限に当たるかを確認します。
最後に飛ばし方が特定飛行に当たるかを確認し、必要なら許可承認と通報に進みます。
この順番を固定すると、毎回同じ判断で進められます。
- 機体:100g以上か、登録済みか
- 場所:空港周辺、DID、150m以上、緊急用務空域か
- 方法:夜間、目視外、30m未満、催し場所上空などか
DIPS2.0でやることを「作業単位」で分けます
DIPS2.0は申請の入り口で、登録や許可承認などの導線がまとまっています。
作業を「登録」「申請」「通報」に分けて、抜けがないかチェックするのがコツです。
迷ったら国土交通省の手続き案内ページから辿るのが確実です。
| 作業 | 参照先 |
|---|---|
| 機体登録 | 無人航空機登録ポータル |
| 許可・承認 | 飛行許可・承認手続 |
| 通報 | 飛行計画の通報 |
許可承認が必要なときは「包括」と「個別」を切り分けます
継続的に飛ばす用途では、毎回個別に申請するより包括で整理できるケースがあります。
一方で、催し場所上空や危険物輸送など、内容によっては個別の検討が避けられません。
自分の飛行がどのリスクに当たるかを先に言語化すると申請設計が楽になります。
- 定常運用:条件が揃えば包括が検討対象
- 高リスク:個別の安全対策が求められやすい
- 迷う場合:申請要件の整理を優先する
旅行者や訪日者は「登録と事前手続」を早めに進めます
日本で飛ばす場合も、登録や許可承認の基本は同じで、準備が遅いほど詰みやすいです。
特に観光地は重要施設や管理者ルールが絡みやすく、現地で急に飛ばせないことがあります。
手続きの入口を先に押さえ、飛行候補地を複数用意するのが現実的です。
| 準備 | やること |
|---|---|
| 事前 | 機体登録と必要なら許可承認 |
| 当日 | 管理者確認と通報の実施 |
| 参考 | 国土交通省の案内 |
規制を理解すれば日本でもドローンは楽しめる
ドローン規制は日本だけが特別に厳しいというより、厳しさの方向が違うと捉えるのが現実的です。
日本は登録の入口が100gで明確であり、空域と飛行方法に応じて許可承認と通報を組み立てる設計です。
海外も登録やRemote ID、カテゴリ分けが進んでいるため、日本だけが一方的に不利とは言えません。
飛行前の判断手順を固定し、公式情報を参照しながら準備すれば、安全に楽しめる選択肢は十分あります。
まずは自分の機体が登録対象かを確認し、次に特定飛行かどうかを整理するところから始めてください。


